室外機、洗っていいのか触っていいのか問題
「エアコンの効きが悪いのは室外機が汚れているから。丸ごと洗えば復活する」。夏になると聞く話ですが、半分は誤解です。室外機は雨ざらし前提で設計された機械で、外板の汚れは効きにほぼ影響しません。そして内部にホースで水をかけたり洗剤を噴いたりすると、電装部品を濡らして故障させる側のリスクが上回ります。
一方で「何もしなくていい」も正解ではありません。手入れに意味がないのではなく、意味のある場所が「洗うこと」ではないのです。
室外機の仕事は、熱を外に捨てること
エアコンの冷房は、部屋の熱を集めて室外機から外へ捨てる仕組みです。室外機の背面から空気を吸い、熱を乗せて正面から吹き出す。この風の流れが室外機の仕事のすべてで、だからこそ弱点も風にあります。吸い込み口や吹き出し口が塞がれると、捨てたばかりの熱い空気を自分で吸い直すショートサーキットという現象が起き、冷えが目に見えて悪くなります。
つまり手入れの本丸は「風の通り道を確保すること」。この線引きが分かると、自分でやるべきことは10分で終わります。
症状別に見る、室外機がサインを出しているとき
- 冷えが悪い まず室外機の前後を見てください。吹き出し口の前に物(植木鉢、すだれ、物置)があると、排熱が跳ね返って再吸入されます。吹き出し口の前は最低20cm、できれば1m空けるのが目安です。物をどかすだけで直るケースが一番多い
- 音がうるさくなった 吸い込み側(背面と側面のフィン)に枯れ葉・綿ボコリ・ペットの毛が詰まっていると、ファンが余計に回って音が大きくなります。後述のホコリ取りで改善します。物理的なガタガタ音なら、設置面の傾きや部品の劣化なので修理の話です
- 周りが汚いだけで動作は正常 外板の汚れ・くすみは見た目の問題で、性能には影響しません。固く絞った雑巾で拭けば十分です
自分でやっていい掃除と、やってはいけない掃除
- 吹き出し口・吸い込み口の前の物をどかす
- 背面フィンの枯れ葉・ホコリをブラシや掃除機でやさしく取る
- 外板を固く絞った雑巾で拭く
- 周囲の落ち葉・雑草の除去
- 内部へのホースでの水かけ・高圧洗浄
- 洗剤・スプレーの吹き付け
- フィンを強くこする(変形すると性能低下)
- 天板を開けての分解
自分でやる範囲の手順はこれだけです。運転を止め、背面と側面の薄い金属板(フィン)に付いたホコリを、古歯ブラシか掃除機のブラシノズルで上下方向になでて取る。フィンはアルミの薄板で力を入れると簡単に曲がり、曲がった分だけ熱交換の効率が落ちます。なでる程度で十分です。
夏のカバーは逆効果
室外機を日差しや汚れから守るためのカバーですが、稼働中の室外機に布や板のカバーをかぶせると、排熱の出口を塞いでショートサーキットを自分で作ることになります。冷えが悪くなり、電気代は上がる方向です。直射日光対策をしたいなら、風の通り道を塞がない「日よけ屋根」タイプを、吹き出し口から距離を取って設置してください。使わない冬場の保護カバーは問題ありません。
業者に頼むラインはどこか
自分の範囲を超えるのは、次のどれかに当てはまったときです。
- フィンの奥まで土ボコリや油汚れが詰まり、ブラシで届かない
- 室外機まわりを整えても冷えが戻らない
- 室内機側からカビ臭・水漏れなど別のサインが出ている
このときの主戦場は、室外機よりも室内機の内部(熱交換器と送風ファン)であることが多いです。エアコンクリーニングを頼むと室内機の分解洗浄が基本で、室外機は必要に応じたオプションになっています。「室外機だけ頼む」より「効きが悪い原因ごと見てもらう」ほうが、結果として出費が一度で済みます。
- 室外機の手入れの本丸は「風の通り道の確保」。吹き出し口の前は最低20cm空ける
- 自分でやるのは物どかし・フィンのホコリ取り・外板拭きまで。10分で終わる
- 内部への水かけ・洗剤・分解はNG。稼働中のカバーも排熱を塞ぐので逆効果
- フィンの奥の詰まりや、効きが戻らないときは内部洗浄の領域。室内機とセットで業者に見てもらう
やってはいけない
注意