引越し清掃

退去費用、ぼったくられてない…?

引っ越しが決まってホッとしたのも束の間、気になるのが退去費用。「敷金、ちゃんと返ってくるのかな」「クリーニング代でごっそり持っていかれたら嫌だな」——そんな不安、ありますよね。退去時に請求される費用の中には、実は借主が負担しなくていい部分もあるんです。このページでは、退去費用の内訳と金額の調べ方と、国土交通省のガイドラインをもとにどこまでが借主負担になるのかの考え方を、できるだけわかりやすくまとめました。

先に結論
  • 退去費用はハウスクリーニング代+原状回復費が中心。金額は契約と精算明細で確かめる
  • 経年劣化や普通に住んでできた傷み(通常損耗)は原則として貸主(大家)負担が基本の考え方
  • わざと付けた傷や、手入れ不足で広げた汚れは借主負担になりやすい
  • ただし契約内容(特約)や個別の事情によって変わるので、契約書の確認が何より大事
  • 退去前に自分でできる掃除をしておくと、請求を抑えられる場合がある

退去費用の内訳と相場

退去時にかかるお金は、ざっくり次のような項目に分かれます。

このうち、ほぼ毎回出てくるのがハウスクリーニング代です。退去時に貸主から請求される額は、契約書の特約や管理会社の取り決めで決まるので、まず契約書で「どちらが負担するか」「金額の定めがあるか」を確かめてください。

自分で清掃業者に頼む場合の料金の例として、ダスキンの引越し清掃サービスのマンション向けモデルプラン(Aセット、東京・神奈川や関東・東海・関西などの標準料金、税込み)を挙げておきます。Aセットはキッチン・レンジフード・浴室・トイレ・洗面所・窓ガラスの掃除の組み合わせで、部屋全体の清掃ではありません。北海道・東北・新潟・山梨・長野・北陸・中国・四国・九州・沖縄は別の料金表です。

間取り(広さの目安)料金の例
1R・1K・1DK(30㎡)5万2800円
1LDK・2DK(40㎡)7万8100円
2LDK・3DK(60㎡)10万3400円
3LDK・4DK(80㎡)11万円
ヒント
これは1社のモデルプランで、掃除する場所の範囲や地域、業者で金額は変わります。退去時に請求される額とも別のものです。実際の負担額は契約書と退去時の精算明細で確認し、業者に頼むなら複数社の見積もりを比べてください。

原状回復はどこまで借主負担?(国交省ガイドラインの基準)

退去でいちばんモメやすいのが、この「どこまで自分が払うのか」という線引きです。賃貸の退去でトラブルが多いことから、国土交通省は「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」という指針を出しています。法律そのものではありませんが、裁判でも参考にされる、実務上とても重視される目安です。

ガイドラインで示されている基本的な考え方は、ざっくり言うとこうです。

「善管注意義務」というのは、借りているものを常識的にちゃんと管理する義務のこと。たとえば結露を放置してカビだらけにした、というのはこの義務を怠ったと見られやすい、というイメージです。

家具を普通に置いてできた床のへこみや、日光による壁紙の色あせなどは「普通に住んでいれば起きること」として、基本的に大家さん側の負担と整理されています。家賃には、こうした自然な傷みの分も最初から含まれている、という考え方ですね。

「住んでたら自然と古くなる分」までは借主が払わなくていい、っていうのが大もとの考え方なんだ。ここを知ってるだけで交渉の土台が変わるよ!
ヒント
原状回復は「入居時のピカピカの状態に戻すこと」ではありません。「借主の使い方のせいで生じた傷みを元に戻すこと」というのが基本的な考え方です。ここを誤解しないことが大事です。

借主負担になりにくい(貸主負担寄り)の例

具体的にどんなケースがどちら寄りになりやすいか、ガイドラインの考え方をもとに整理してみます。

これらは「普通に生活していれば生じるもの」として、借主が負担しなくてよいと判断されやすい例です。

借主負担になりやすい例

これらは「使い方の問題」「手入れを怠った結果」と見られやすく、借主負担になりやすい例です。

注意
ここで挙げたのはあくまで一般的な傾向です。同じ「カビ」でも、建物の構造的な問題が原因なら貸主負担になることもありますし、契約の特約や物件ごとの事情で結論は変わります。実際の負担割合は、契約書の内容と個別の状況によって判断されます。

ハウスクリーニング特約はどう扱われる?

契約書に「退去時のハウスクリーニング代は借主負担とする」といった特約が入っていることがあります。借主に特別な負担を課す特約が認められるには、東京都の「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」によると次の3つが必要です。

これを満たしていれば、有効と認められることがあります。逆に、契約時に十分な説明がなかったり、相場からかけ離れた金額だったりすると、争いになるケースもあります。契約書にサインする前に、こうした特約の有無は必ず確認しておきましょう。

あわBASEのまとめ

掃除する場所ごとの、負担の分かれ目

場所貸主負担とされる例借主負担とされやすい例退去前にすること
部屋全体通常の掃除をしていれば、専門業者による全体のハウスクリーニング通常の掃除をしていなかったための汚れごみを片付け、掃き掃除・拭き掃除をしておく
台所(コンロ・換気扇)台所の消毒手入れを怠ってこびりついた油汚れ・すす油汚れを落としておく
風呂・トイレ・洗面台寿命による設備の故障手入れを怠ってついた水あか・カビ水あかとカビを落としておく
壁・クロス日照による変色、ポスターの跡、画びょうの穴、テレビや冷蔵庫の裏の電気ヤケタバコのヤニ・におい、重い物をかけたくぎ穴、落書き入居時の写真と見比べ、退去時も写真で残す
窓まわり結露そのもの(ガイドライン本文の考え方では「建物の構造上の問題であることが多い」とされる)結露が出ているのに貸主に知らせず、ふき取りもせずに広げたカビ・シミ結露はふき取り、ひどければ早めに貸主に知らせる
床家具の設置によるへこみ、日照による色落ち飲み物をこぼしたあとの手入れ不足によるシミ・カビ、冷蔵庫の下のさびの放置こぼした跡やさびを拭き取っておく
エアコン内部の洗浄(喫煙などのにおいが付いていない場合)喫煙などによるにおい喫煙などのにおいが無いのにエアコンの内部の洗浄代を請求されていないか、精算明細で確かめる
鍵壊したりなくしたりしていない場合の取り替えなくした・壊した鍵の取り替えすべての鍵を返す

国交省のガイドラインでは、借主の原状回復の義務に「通常の掃除」(ごみの撤去、掃き掃除、拭き掃除、水回りの掃除、換気扇やレンジ回りの油汚れの除去)が入っています。表の「借主負担とされやすい例」の多くは、この掃除をしておけば避けられるものです。

敷金で損しないコツ

退去費用は、入居時に預けた敷金から差し引いて精算されるのが一般的です。費用が敷金の範囲内なら差額が返ってきますし、足りなければ追加で請求されます。退去時の「言った・言わない」やムダな負担を避けるために、押さえておきたいポイントをまとめました。

掃除については、「自分でやる」か「プロに頼む」かの判断になります。

引っ越しでバタバタして掃除まで手が回らない…ってときは、退去クリーニングをプロにお願いするのも手だよ。料金は依頼先で変わるから、まずは目安をチェックしてみてね!
重要
退去費用や原状回復のルールは、国交省ガイドラインをもとにした一般的な目安です。実際の負担の有無や金額は、契約内容・物件の状況・自治体によって異なります。特定の金額や負担割合を保証するものではありません。トラブルになりそうな場合は、貸主・管理会社への確認や、消費生活センターなどの公的な相談窓口の利用も検討してください。

よくある質問

Q一人暮らしの退去費用は平均していくらですか?
A
決まった平均額はなく、契約の特約や物件の状態で変わります。中心になるのはハウスクリーニング代で、ここに原状回復費や鍵交換費が加わることもあります。クリーニング代の定めは契約書に書かれていることが多いので、まず契約書を見て、退去後は精算明細で内訳を確認してください。
Q何年住めば退去費用は安くなりますか?
A
「何年で安くなる」という決まった基準はありません。通常損耗の分は、住んだ年数にかかわらずもともと貸主の負担です。そのうえで国交省のガイドラインは、借主が負担する傷み(故意・過失や手入れ不足でできたもの)でも、建物や設備の経過年数を考え、年数が多いほど借主の負担の割合を小さくする考え方をとっています。最終的にはクリーニング代の特約など、契約内容しだいになります。
Q退去時に払わなくていい費用はありますか?
A
経年劣化や通常損耗(普通に住んでいて自然に生じる傷み)は、原則として貸主負担というのがガイドラインの基本的な考え方です。日光による壁紙の変色や、家具を置いたことによる床のへこみなどがこれにあたります。ただし契約の特約で借主負担とされている場合もあるため、契約書の確認が前提になります。
Q退去費用が高額請求されたり、納得できない場合は支払いを拒否できますか?
A
経年劣化や通常損耗の分は、ガイドライン上はもともと貸主が負担するものとされています。そのため、不当な請求や相場からかけ離れた金額に対しては、まずは精算明細の内訳を確認し、納得できない項目について説明を求めたり交渉したりする余地があります。それでも解決しないときは、消費者ホットライン「188」から消費生活センターなどの公的な相談窓口に相談してください。
Qハウスクリーニング特約があったら必ず払う必要がありますか?
A
「退去時のクリーニング費用は借主負担」という特約は、契約時に借主が内容を認識して合意しており、金額も妥当であれば有効と認められることがあり、その場合は負担が生じます。一方で、金額が相場からかけ離れて高かったり、契約時の説明が不十分だったりした場合は、争う余地が生じることもあります。有効かどうかは契約内容や個別の事情によります。
まとめ
  • 退去費用の中心はハウスクリーニング代+原状回復費。金額は契約書と精算明細で確かめる
  • 経年劣化・通常損耗は原則貸主(大家)負担、故意・過失や手入れ不足は借主負担が基本ルール
  • 日焼けや画びょう程度は貸主寄り、タバコのヤニや放置カビは借主寄り(あくまで目安)
  • ハウスクリーニング特約は、合理的な理由があり、借主が認識して合意していれば有効になることもある
  • 敷金で損しないコツは「契約確認・入居時の写真記録・立ち会い同席・退去前の掃除」
  • 掃除に手が回らないときは退去クリーニングをプロに頼むのも選択肢
参考にした公式情報(5件)
  1. 国土交通省 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について
  2. 国土交通省 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)本文
  3. 東京都住宅政策本部 賃貸住宅トラブル防止ガイドライン~概要~
  4. 国民生活センター 賃貸住宅の原状回復トラブルにご注意!
  5. ダスキン 入居前・退去後のお掃除(引越し清掃サービス)