畳のカビに、濡れ雑巾を当てない
畳に白いものが浮いているのを見つけても、濡れ雑巾には手を伸ばさないでください。
水拭きは、畳のカビに対していちばんやってはいけない手当てです。その日は消えたように見えますが、翌週には前より広い範囲に出ます。理由は2つあって、どちらも畳という素材の性質から来ています。
水拭きが逆効果になる理由
畳表はイグサを織ったものです。イグサは湿気を吸って吐く性質を持っていて、それが和室の調湿を支えている一方、水を含むと内部の水分がしばらく抜けません。カビが増えるのに要る湿度を、こちらから供給する形になります。
もうひとつは胞子です。畳の表面に出たカビを濡れた布でこすると、胞子が水と一緒に畳の目に沿って広がります。拭いた跡が線状にカビるのは、これが原因です。
畳の目とは、畳表のイグサが織られている方向を指します。この方向に沿って動かすか、逆らうかで、カビが繊維の間に押し込まれるかどうかが変わります。手順のすべてが、この目の向きに掛かっています。
白か、青緑か、黒か
色で、この先やることが分かれます。畳に顔を近づける前にマスクをして、窓を開けてから見てください。
- 白い綿状 表面に出たばかりです。畳表の繊維の上に乗っているだけなので、自分で取れます
- 青緑の斑点 進行中です。取れますが、範囲の見極めが要ります。1枚の畳の広い範囲に散っていたら、隣の畳の裏も確認します
- 黒い点 畳表の内部か、その下の畳床まで達しています。表面を拭いても輪郭が残るのが目印です
黒い点は、洗剤や薬剤の問題ではありません。繊維の奥に入り込んだものは、上から何を塗っても戻りません。
白いカビを畳の目に沿って取る
用意するのは消毒用エタノール、乾いた雑巾を数枚、使い古しの歯ブラシ、それにマスクとゴム手袋です。掃除機は最初には使いません。
- 窓を2か所開けて風を通す。窓が1つしかない部屋なら、扇風機を外へ向けて空気を押し出します
- マスクとゴム手袋をつける
- エタノールを先に吹く 乾いた状態でこすると胞子が舞います。吹いてから2〜3分置き、胞子を落ち着かせてから触ります
- 歯ブラシで、畳の目に沿ってカビをかき出す。目に逆らうと繊維の間に押し込みます
- かき出したものを、乾いた布で一方向に拭き取る。往復させると広げます
- 布は面を替えながら使い、使い終わったら袋に入れて口を縛って捨てる
- 仕上げにもう一度エタノールを薄く吹き、扇風機を当てて完全に乾かす
- 乾いてから掃除機をかける。この順番なら胞子は舞いません
黒い点まで来ていたら、表替えを考える
黒いカビが畳表の内部まで入っていると、自分の手当てでは色が戻りません。ここから先は畳店の領域になります。
表替えとは、畳床(土台)はそのままに、表面のイグサだけを新しく張り替える工事を指します。費用は畳表のグレードで幅があり、1畳あたりおよそ4,000〜15,000円かかります。畳床まで湿気で傷んでいる場合は新調になり、1畳あたり10,000〜30,000円ほどかかります。
判断の目安は次のとおりです。
- 黒い点が1枚の畳の広い範囲に散っている
- 畳を押すとぶよぶよする、または踏むと沈む
- カビを取っても2〜3週間で同じ場所に出る
- 畳を上げてみたら、裏面と床板にもカビがある
最後の項目に当てはまるなら、畳ではなく床下の湿気が出どころです。畳を替えても同じことが起きるので、床下の換気を先に見てもらってください。和室が複数あって全体にカビが回っている場合は、畳店の前にハウスクリーニングで室内全体の状況を見てもらう選択肢もあります。
夏の和室でカビを呼び戻さない
梅雨から夏にかけて、和室の湿度は他の部屋より下がりにくくなります。畳そのものが湿気を吸って抱えるからです。
- 1日1回、窓を開けて空気を入れ替える 5分で構いません。閉め切った和室は湿度が下がりません
- 室内の湿度を60%以下に保つ エアコンの除湿か除湿機で足ります。湿度計を1つ置くと判断が早くなります
- 畳の上にカーペットやウッドカーペットを敷かない 通気を止めるので、下でカビが育ちます
- 家具の脚の下に敷板を入れる 接地面が広いと、その下だけ湿気が抜けません
- 布団を敷きっぱなしにしない 畳と布団のあいだは、家の中でいちばん湿気がこもる場所のひとつです
- エアコンの風を和室にも回す 空気が動いている場所にはカビが出にくくなります
よくある質問
やってしまいがちな手戻りは2つです。ひとつは濡れ雑巾で拭いて、翌週に線状の広がりを作ること。もうひとつは重曹で落とそうとして、その部分だけ黄ばませることです。どちらも「汚れを落とす」つもりの動作が、カビ相手では逆に働いた例です。要るのは消毒用エタノールと乾いた布、それに乾かす時間です。
- 水拭きは畳に水分を足し、胞子を畳の目に沿って広げる。翌週に範囲が広がる
- 白い綿状は自分で取れる。青緑は範囲の確認が要る。黒い点は内部まで入っていて戻らない
- エタノールを先に吹いて2〜3分置き、畳の目に沿ってかき出して一方向に拭く。掃除機は最後
- 塩素系は脱色、重曹は黄変。畳に使えるのは消毒用エタノール
- 黒が広範囲、押すと沈む、裏にもカビ。どれかなら表替えか新調を畳店へ
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