畳のカビに、濡れ雑巾を当てない
畳に白いものが浮いているのを見つけても、水でぬらした雑巾でそのまま拭くのはやめてください。
建材メーカーの大建工業は、水拭きをすると畳に水分が移り、かえってカビの繁殖を促すと案内しています。カビを拭き取るときに使うのは、消毒用エタノールか、案内にある酢です。
水拭きが逆効果になる理由
畳表はイグサを織ったもので、湿気を吸う素材です。大建工業の案内では、カビは湿度60%以上で活発になります。水拭きは、カビが増えるのに要る水分を、こちらから足す形になります。
もうひとつはこすり方です。大建工業は、畳をたたくとカビが奥へ入り込むので良くないとしています。ブラシも、ゴシゴシこするのではなく、畳の目に沿ってやさしくなでるように使い、胞子を舞い上げないよう案内しています。
ふだんの掃除まで水を使えないわけではありません。全日本畳事業協同組合は、拭き掃除は乾拭きか、お湯で固く絞った雑巾で、余分な水分を吸わせないようにと案内しています。カビを取ったあとの仕上げにも、消毒用アルコールか、酢を入れた少し熱めのお湯で拭く方法を挙げています。避けたいのは、水を含んだ雑巾でカビをそのまま拭くことです。
畳の目とは、畳表のイグサが織られている方向を指します。ここで見た3つの案内は、どれもブラシや布、掃除機を畳の目に沿って動かすよう書いています。
白・青か、黒か
色で、使うものが分かれます。畳に顔を近づける前にマスクをして、窓を開けてから見てください。
- 白・青のカビ 大建工業は軽度のカビとしています。酢を薄めて拭くか、エタノールを使う手順で取ります
- 黒いカビ 大建工業は重度のカビとしていて、エタノール(濃度70〜80%)を吹いてブラシでこする方法を載せています
拭いても黒い色が残る、同じ場所に何度も出るといった場合は、無理にこすり続けず、後半の「畳店に相談する目安」を見てください。
カビを畳の目に沿って取る
ここではダスキンの手順をもとにしています。用意するのは消毒用エタノール(濃度70〜80%のもの)、スプレー容器、小分けの容器、ブラシ(使い古しの歯ブラシなど)、乾いた雑巾、それにマスクとゴム手袋です。
- 窓を開けて風通しをよくする
- マスクとゴム手袋をつける。ダスキンは、液がたれないよう手袋の端を少し折り返すよう案内しています
- 消毒用エタノールをスプレー容器に入れてカビ全体に吹き、15分ほど置く
- ブラシで、畳の目に沿ってカビをかき出す
- かき出したカビは、小分けの容器に入れたエタノールの中でブラシを洗って落とす。かき出しと洗いをくり返し、汚れたエタノールは何度か替える
- エタノールを吹きつけながら、乾いた雑巾で畳の目に沿って拭く
- よく乾かす。ダスキンは、天気の良い日に外で畳を干すか、畳の片方を上げて缶などをはさみ、畳と床の間に風を通す方法を挙げています
掃除機は、案内によって扱いが割れます。大建工業は、吸ったカビが排気口から出て室内に戻るので使わないよう案内しています。全日本畳事業協同組合は、十分に乾かしたあとに、できればヘパフィルターの付いた掃除機で畳の目に沿ってゆっくりかけるとしています。このページの手順では掃除機を使いません。
畳の組合・掃除の会社・建材メーカーの手順の違い
3つの案内は、最初にすることと掃除機の扱いが違います。共通しているのは「畳の目に沿ってブラシや布を動かす」ことです。
| 段階 | 全日本畳事業協同組合 | ダスキン | 大建工業 |
|---|---|---|---|
| 最初にすること | 酢の原液をカビに吹きかけ、十分に乾かす | 消毒用エタノール(70〜80%)を吹き、15分ほど置く | 換気し、ブラシで畳の目に沿ってやさしくなで、乾拭きする |
| 次にすること | 掃除機を畳の目に沿ってかけ、詰まったカビは歯ブラシで取る | ブラシで畳の目に沿ってかき出し、エタノールの中で洗う。くり返す | 白・青のカビは酢を水で1対9に薄め、雑巾で拭く。黒カビはエタノール(70〜80%)を吹き、ブラシで目に沿ってこする |
| 掃除機 | 乾かしたあとに使う(できればヘパフィルター付き) | 手順に出てこない | 排気でカビを室内に戻すので使わない |
| 仕上げ | 消毒用アルコールか、酢を入れた少し熱めのお湯で拭き、乾かす | エタノールを吹きながら乾いたぞうきんで拭き、よく乾かす | 乾いた布で乾拭きする |
迷ったら、このページではダスキンの手順(エタノールを吹いて置き、ブラシでかき出して乾拭き)を基本にしています。酢は、原液だと畳の色が変わるおそれがあると大建工業が書いており、掃除機は案内によって扱いが割れるからです。
畳店に相談する目安
拭いても黒い色が残る、何度も同じ場所に出る。そういうときは、自分で手当てを続けるより、畳店に見てもらうほうが確実です。
表替えとは、畳床(土台)はそのままに、表面のイグサだけを新しく張り替える工事を指します。畳床まで湿気で傷んでいる場合は新調になります。どちらになるか、費用がいくらかは畳表のグレードや枚数で変わるので、畳店で見積もりを取ってください。
相談を考えたいのは、次のようなときです。
- 黒いカビが1枚の畳の広い範囲に散っている
- 畳を押すとぶよぶよする、または踏むと沈む
- カビを取っても、しばらくすると同じ場所に出る
- 畳を上げてみたら、裏面と床板にもカビがある
最後の項目に当てはまるなら、床下の湿気も疑われます。畳店に、床下の換気もあわせて見てもらってください。和室が複数あって全体にカビが回っている場合は、ハウスクリーニングで室内全体の状況を見てもらう選択肢もあります。
和室でカビを呼び戻さない
全日本畳事業協同組合は、梅雨時に限らず、湿度の高い日が続くとカビが生えやすくなると案内しています。
- 換気をする 組合は、換気を心がけ、エアコンのドライ機能を活用するよう案内しています
- 室内の湿度を60%より下に保つ 大建工業の案内では、湿度60%以上でカビが活発になります。エアコンの除湿か除湿機で下げ、湿度計を1つ置くと判断が早くなります
- 室内に洗濯物を干さない 組合も、湿度の高い時期は控えるよう案内しています
- 畳の上にカーペットや上敷きを敷かない 組合は、敷物が畳の呼吸を妨げ、湿気をこもらせてカビの原因になると案内しています
- 部屋を片付けて空気の流れをつくる 組合は、室内を整理して空気の流れが良くなるようにと案内しています
- 酢を入れたお湯で拭いて予防する 組合は、バケツ一杯のぬるま湯にコップ一杯の酢を入れ、畳を拭いて予防する方法も挙げています。消毒用アルコールでもよいとしています
よくある質問
要るのは消毒用エタノールと乾いた布、それに乾かす時間です。水を含んだ雑巾でそのまま拭く、いきなり掃除機をかける、たたく。どれも「汚れを落とす」つもりの動作ですが、案内では避けるよう書かれています。
- 水拭きは畳に水分を移し、カビの繁殖を促す。ふだんの拭き掃除は乾拭きか、お湯で固く絞った雑巾で
- 大建工業は白・青のカビを軽度、黒カビを重度としている
- エタノールを吹いて15分ほど置き、畳の目に沿ってかき出し、乾いた雑巾で拭いてよく乾かす
- 掃除機は案内が割れる。大建工業は使わない、組合は乾かしてから、できればヘパフィルター付きで
- 塩素系漂白剤は使わない。案内にあるのは消毒用エタノールと酢
- 黒が広範囲、押すと沈む、裏にもカビ。どれかなら畳店に相談する
参考にした公式情報(4件)
- 全日本畳事業協同組合 カビについて
- 全日本畳事業協同組合 畳のお手入れ
- ダスキン 畳カビの取り方:床【念入りおそうじ】
- 大建工業(DAIKEN) 畳のカビがひどい! 原因と効果的なカビ掃除の方法、予防対策